|
公開日:2016/11/04 , 最終更新日:2018/3/25
|
前提知識
・電気回路の基本
・Scilabとは
下記RL回路にて電圧V(t)を与えた時のコイル間電圧VL(t)を考えます。
■コイルの性質
コイルの性質は電流変化を妨げる方向に起電力が発生します。従って電流が流れようとすると流れるのを妨げ、
電流が流れが止まろうとすると逆に電流を流すように働きます。電流変化が無い場合はコイル間の電圧は0になります。
VL(t)はインダクタンス(L)と電流変化に比例し、以下となります。
■RL回路の微分方程式の導出
キルヒホッフの法則より、回路全体の電圧の和は以下となります。
ここで抵抗間の電圧VR(t)はオームの法則により以下。
また(1)(3)を(2)に代入すると以下となります。
上記を以下の様に変形し、電流i(t)に関する微分方程式の形に表現することが出来ました。
■Scilabで設計
(5)をブロック図で表現すると以下になります。
i(t)がまだ表現できていないですが、di(t)/dtを積分するとi(t)になるので、それを表現すると以下になります。
コイル、抵抗間の電圧を表現すると以下のとおり。
これをScilabで表現すると以下になります。
■動作確認結果
シミュレーション結果と各パラメータは以下のとおり。
・V = 1(V)
・R = 2(Ω)
・L = 0.5(H)
コイル間の電圧は、V(t)が変化した瞬間V(t)と同じ位の値となり、その後0に向かって収束します。これは高周波の電圧を
通過している事を意味し、このVl(t)の電圧を利用する回路をハイパスフィルタと言います。
一方抵抗間の電圧は、V(t)が変化した瞬間は値はすぐには反応せず、時間が経過するに従ってV(t)に収束します。
これは低周波の電圧を通過している事を意味し、Vr(t)の電圧を利用する回路をローパスフィルタと言います。
■補足
ローパス/ハイパスフィルタの類似回路としてRC回路がありますが、RL回路には以下の様に浮遊(寄生)抵抗、浮遊(寄生)容量があるため、
厳密に設計どうりのRL回路が作りづらいという難点があります。また一般的にコンデンサのほうがコストが安いです。よってRC回路を用いられることが多いようです。
サブチャンネルあります。⇒ 何かのお役に立てればと
|
|