エアコン, チラーの原理



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公開日:2021/2/11 , 最終更新日2022/7/18        

前提知識


家庭用エアコン、自動車用エアコンの原理と仕組み、あわせてチラーとの違いを説明します。

■ 家庭用エアコンの原理と仕組み

<冷房時>
冷房の基本的な原理は、液体の蒸発による気化熱の利用です。例えば体に付いた水が蒸発する時に体の熱を奪ってその部分が冷たく感じますが、それが気化熱です。 一度冷媒を気化させた後、再び冷媒を使用するために、コンプレッサーと膨張弁というものを活用します。

コンプレッサーは蒸発した気体を圧縮して再び液体にする役割を持っており、圧縮され液化した冷媒は温度が高くなります。 その冷媒を冷やすために熱交換器部分でファンで風を当てます。従って室外機から出ている風は温かいです。

膨張弁は、熱交換器である程度冷やされた冷媒を蒸発させるために、膨張弁にて膨張させ流速を早め更に温度を低くさせます。 この冷たい冷媒が熱交換器部分で冷たい風となって出てきます。



<暖房時>
暖房時の冷媒の流れは冷房の逆回りです。冷房時は室内機から冷たい風が出て室外機から温かい風が出るのに対して、暖房時は室外機から冷たい風が出て、室内機から温かい風が出ます。



この原理をヒートポンプというのですが、よく「外の冷たい空気から熱を奪って温かくする」という説明がありますが。冷たい所から温かいところにどうやって熱を移動させる事ができるのかと思うかもしれません。 この説明は誤解を与える説明だと思います。

実際には膨張弁から出た非常に冷たい冷媒と外の冷たい空気、ただし冷媒よりは相対的に温かい空気との熱交換を行うので、冷媒は温められることになります。これが熱を奪うという事になります。 従って外の空気が冷媒より冷たい場合は、熱を取り出すことはできません。その時は暖房は効かなくなるのかといったらそうではなく、コンプレッサーによって圧縮された空気で温風を出すことができます。 それなら初めからコンプレッサーのみを使えば良いのかと思うかもしれませんが、暖房効率を高めるために熱交換器を使用します。ただし先ほど説明したとおり、外気が非常に冷たい場合は効率が低下します。

■ 自動車用エアコンの原理と仕組み

自動車用エアコンも家庭用エアコンと原理はほとんど同じです。熱交換器にはエバポレータ、コンデンサーという名前がついており、コンプレッサーはエンジンの動力を使って回します。 また暖房時はエンジンの熱を利用して温めた風を送り出します。コンプレッサーを回さずに済むのでのでその方が効率が良いです。ただしエンジンを始動直後はエンジンが暖機されておらず、すぐには温める事ができないので、 寒冷地などではエンジンの熱とPTCヒーターと併用することで早期に温める事ができます。

なお電気自動車の場合は、熱源となるエンジンが無いので、構造は家庭用エアコンと同じになります。



■ チラーの原理と仕組み

チラーとは冷却水循環装置といい、液体の温度を一定に保つための装置です。一定の温度に保たれた液体を様々な装置に流すことで、装置の温度を一定に保つことができます。 これも原理はエアコンと同じで、エアコンは空気を冷やしていたのに対して、チラーは液体を冷やすのが異なる点です。またチラーの場合、以下に示す熱交換器部分は空冷式の他に水冷式もあります。











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