ウラン、プルトニウムとは 原子力への応用



化学

公開日:2024/3/9         

前提知識


■ウランとは

ウランとは、原子番号92の元素で、天然のウラン鉱石には主にウラン235とウラン238の2つの同位体として存在し、その割合は0.7%と99.3%となっています。

ウラン235は陽子の数が92、中性子の数が143で、核分裂性の性質を持っています。一方ウラン238は陽子の数が92、中性子の数が146で非核分裂性の性質を持っています(陽子と中性子の数が偶数-奇数となると安定しなくなる)。 ウランに235に中性子をぶつけると核分裂が発生しエネルギーを発生します。核分裂後にはセシウム137、ストロンチウム90、ヨウ素131などの放射性物質が生成されます。

 

<原子力への応用>
原子力に必要なのは核分裂性の性質を持つウラン235になります。天然ウランには0.7%しか含まれないウラン235を93%以上に濃縮して爆弾に詰め込むと核兵器に、3~5%に濃縮し(残りはウラン238)燃料棒にすると原子力発電に使用できます。 この濃縮ウランに中性子をぶつけると核分裂の連鎖が発生(これを臨海という)し膨大なエネルギーを発生します。核兵器用のウランの方が濃縮度が高いため瞬間的にほとんどのウランが核分裂しますが、原子力発電用の濃縮ウランは時間をかけて核分裂させることで安定的なエネルギーを取り出すことが出来ます。

■プルトニウムとは

上記で説明した、ウランの核分裂の過程で発生した中性子が高速でウラン238にぶつかると、その中性子から陽子と電子(とベータ線)が生成されウラン238に吸収されます。するとウラン238は原子番号が一つ増え93になり、プルトニウム239が生成されます(半減期は24000年)。 この様に中性子がベータ線を発生しながら陽子と電子が生成される現象をベータ崩壊といいます。プルトニウムを含む、ウランよりも重い元素は超ウラン元素といい現在の自然界には存在しない物質です(天然の原子炉で知られるアフリカのオクロ鉱山には過去に超ウラン元素が存在していたと思われる)。

<原子力への応用>
3~5%に濃縮したウラン235を含む燃料棒は、核分裂後以下の様な構成となります。発生したプルトニウムはウランと混ぜて混合酸化物燃料(MOX燃料)して原子力発電に再利用できます。これをプルサーマルといいます。

また、効率よく中性子をウラン238にぶつけプルトニウムを生成させるものが高速増殖炉となります。通常燃料を冷却するためには水を使用しますが、水の場合は中性子が減速してしまい、なかなかプルトニウムが生成されません。 そこで冷却水にナトリウムを使うことで中性子を減速させずに効率よくプルトニウムを生成させることができます。ただ、ナトリウムは水と反応すると爆発するという性質を持っており扱いが非常に難しい物質で、そこが高速増殖炉の難しさの一つでもあります。

核分裂後にはプルトニウム以外にも、ネプツニウム(原子番号93)、アメリシウム(同95)、キュリウム(同96)などの超ウラン元素も生成されます。これは高レベル放射性廃棄物として固化ガラスに閉じ込め、地中深くに1万年以上埋める必要がありますが、 地震の影響や、後世の人が間違って掘り起こしてしまわないか等、1万年以上無事に保管し続けることが出来るのかという問題があります。











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