■考え方
モデルベース開発(Model Based Development:MBD)とは、制御対象物の動作原理(メカニズム、カラクリともいう)を解明、モデルで表現し、そのモデルを使って行う制御システム開発手法のことです。
自動車業界では西暦2000年あたりからMBDという言葉が使われ始め、2010年あたりには実際にMBDによる商品開発を行っていました。
MBDの特徴は、実際にソフトウェアを作る前の仕様の段階、あるいはソフトウェアができてからそれを実機で検証する前の段階で、モデルを使って仕様の検証ができるという点にあると私個人は考えます。
そしてそれを可能にしたのは、開発環境(例えば、MATLABというモデル設計ソフトやHILS(Hardware In the Loop Simulation)というシミュレータの存在、シミュレーションを実行可能にするコンピュータの性能向上など)が整ってきたことが挙げられます。
検証の手法には、設計段階で行うMILS(Model In the Loop Simulation)、ソフトウェアができた時点で行うSILS(Software In the Loop Simulation)、ソフトウェアを実際にコントローラ(ECU:Electronic Control Unit)に実装した時点で行うHILSがあります。
それぞれの検証手法の使い分けとして、MILSでは検証できない領域(モデルで記述していないプラットフォーム領域など)をSILSで検証し、SILSで検証できない領域(他ECUとの通信領域など)をHILSで検証します。
やはりMILSの時点でできるだけ検証を終わらせる方が手戻りが少なくなるので、MILSで検証できることを増やしていくのが望ましいです。