標本化定理(サンプリング定理)とは エイリアシングを防ぐ



デジタル信号処理

公開日:2018/11/9         

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<前提知識>
スペクトル解析


■標本化定理(サンプリング定理)とは

標本化定理(サンプリング定理)とは、アナログ信号をデジタル信号に変換する時、元の信号に含まれる周波数成分の2倍より高い周波数でサンプリングすれば、 元信号を再現することが出来るというものです。ちょうど2倍ではダメなので注意が必要です。例えば2Hzの信号に対しては4Hzより高い周波数でサンプリングする必要があります。 逆にいうと、サンプリング周波数に対して1/2の周波数までが再現可能な信号であり、サンプリング周波数の1/2の周波数のことをナイキスト周波数といいます。

具体例として、2Hz周期の信号を2Hzの2倍より大きい5Hzでサンプリングする場合、以下の様になります。



これを見てみると、たとえ2倍より大きい周波数でサンプルしても、元の信号を表しているようにはとても見えません。 しかしスペクトル解析してみると、元の信号の周波数である2Hz帯で強い振幅が出ており、元の信号を表現できることが分かります。



■エイリアシングとは

仮に元の信号の2倍以下の周波数でサンプルするとどうなるでしょうか。3Hz(0.33秒)でサンプリングした結果は以下となります。



時間軸で見ると周期的な信号に見えるのですが、スペクトル解析すると1Hz付近で強い振幅となっているので、これは1Hzの信号に見えています。 この様に、元の信号の2倍以下の周波数でサンプリングした時に、元の信号とは異なる周波数の信号になってしまう事をエイリアシングといいます。

日常でのエイリアシングの例としては、走っているタイヤのホイールが車のスピードによってゆっくり回転したり、逆方向に回転している様に見える現象があると思います。 あれがエイリアシングの例となります。

またエイリアシングを防ぐ手立てとして、アンチエイリアスフィルタというローバスフィルタがありますが、これは上記の様にサンプリングしたい信号よりも低周波数でサンプリングした結果 発生したエイリアシングを防ぐものではありません。通常は狙いの信号よりも高周波のノイズが混じっており、この高周波のノイズに対するエイリアシングの影響を防ぐためのものとなります。









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