CAN通信, LIN通信とは 仕組みと違い



通信技術

公開日:2019/9/23         

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前提知識
 ・シリアル通信の仕組み
 ・単向、半二重、全二重通信
 ・差動信号伝送
 ・シングル/マルチマスタ方式
 ・終端抵抗


■CAN通信とは

CANとはController Area Networkの略で、主に自動車用の通信ネットワークとして用いられるシリアル通信の規格のことで、 ホストコンピュータなしでユニット間の通信を行うP2P(ピアツーピア)となっております。通信速度は最高1Mbps程度ですが、 CAN FD(CAN with Flexible Data rate)の様に、より高速(8Mbps)な通信方法もあります。

<CAN通信の利点>
センサの値をECU(コントロールユニット)に入力するにはセンサとECUをハードワイヤで繋ぐ必要がありますが、複数のECUが同一センサの値を必要とする場合、 CAN通信が無いとECU間をセンサ数だけのハードワイヤで繋ぐ事にあり、車両全体としてはたくさんのハードワイヤ/入出力回路が必要になり、コストが増大してしまいます。 CAN通信を用いる場合、以下の様にECU間の通信を共通のハードワイヤにすることで、大幅なコストダウンが可能となります。



<特徴>
トポロジー(ネットワーク形態)はバス型。主要ECUがメインバスで繋がっており、そこから各ECUがサブバスでぶら下がっています。主要ECUには信号の反射を防ぐために終端抵抗が付けられます。 ただしこの主要ECUが通信プロトコル上のマスターとなっている訳ではなく、通信的にはECU間の優劣がないマルチマスター方式となっております。 また、1つの回線で送信と受信を交互に行う半二重通信、耐ノイズ性向上のため差動信号伝送となっております。 CANの信号線が2本あるのは送信と受信のためではなく、差動信号伝送のためです。送受信は一本の線で行ってます。



■LIN通信とは

LINはLocal Interconnect Networkの略で、CANと同様、主に自動車用の通信ネットワークとして用いられるシリアル通信の規格です。CAN通信に比べ通信速度は落ちるが安価で実現できるのが特徴。 複数のセンサを共通のハードワイヤで一つのECUへ入力する事でコスト削減が可能です。CANはECU間の通信、LINはECUとセンサ間の通信に用います。



その他の特徴は
 ・ ユニットがマスターとなってセンサに送信指令を出すシングルマスター方式
 ・ 1つの回線で送信と受信を交互に行う半二重通信
 ・ 1本の線で通信するシングルエンド伝送 (対する方式は差動通信伝送)
 ・ 通信速度は20kbpsとCAN通信(1Mbps)に比べ遅い

■CAN通信とLIN通信の違いまとめ

CANとLIN通信の構成例は以下。



通信方式の比較は以下。










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