SENT通信の仕組み



通信技術

公開日:2019/10/2         

 ・In English
前提知識
 ・シリアル通信の仕組み
 ・LIN通信
 ・単向通信
 ・差動信号伝送


■SENT通信とは

SENT通信とはSingle Edge Nibble Transmissionの略で主に自動車用の通信ネットワークとして用いられるシリアル通信規格のことです。 センサの情報をECUに取り込む場合、センサの電圧値をリニアに取り込むアナログ入力がありますが、SENTはこれをデジタル信号として通信する方式です。

デジタル通信を行うメリットは高精度なセンサ値を入力できるからなのですが、その理由は、高精度なセンサはそのセンサ内に様々な信号処理を実施しており、 その過程でアナログ信号からデジタル信号に変換している為、ECUに送信するために敢えて再びアナログ信号に変換する理由がないのです。 アナログ信号に変換すると量子化誤差(AD変換誤差)が生じたり、伝送過程でノイズが乗るなど、せっかく高めたセンサ精度が落ちてしまうので良いことは有りません。



■LIN通信ではダメなのか

センサとECU間のデジタル通信は他にLIN通信がありますが、SENTはLINより通信速度が速いのがメリットです。SENTの通信速度は30Kbpsでセンサ単独の専用回線、 LINは20Kbpsで複数センサとの通信ラインの共有が前提なのでLINは通信速度が遅いです。速度を求めないならばLIN通信でも良いです。


■SENT通信の特徴

シリアル通信としての特徴は、送信専用であるため単向通信、一つの回線を用いるシングルエンド伝送(対して2つの回線を用いるのは差動信号伝送といいます)。 SENT通信としての特徴は、SENTの名前の由来ともなっている、信号を4bit単位で送信し(4bitをNibbleニブルという)、電圧の立下りエッジ間の時間で信号の内容を判断するものです。



送信信号の説明は以下。
・同期信号
 1サイクルが始まる事を認識させる信号

・ステータス
 故障しているか否か等、通信の状態

・信号1、2
 センサ値そのもの。2種類のセンサ値を送る事が可能。必ず12bitずつではなく、10bit/14bitなど変える事も可能。

・CRC
 巡回冗長検査の信号

・ポーズパルス
 1サイクルのトータルのティック数を同じにするための調整信号。必ずしも必要ではない。









サブチャンネルあります。⇒ 何かのお役に立てればと

関連記事一覧



通信技術