トルクと出力の関係 , 走行性能曲線とは



自動車工学

プラントモデル

公開日:2020/10/10         

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前提知識
 ・トルク、出力とは
 ・車の加速度の求め方


エンジンやモーターのトルクから加速度や車速を求める方法をこちらで説明していますが、加速度や車速を求めるには出力(馬力)というパラメータは必要としませんでした。 出力が高い方が車としては速いイメージがあるので、速度を求めるには出力という要素が必要と思うかもしれません。ここではトルクと出力の違いについて説明します。

■トルクと出力の関係

以下のとおり。出力はトルクと回転数を掛け合わせたものです。



出力とは単位時間当たりの仕事量(力x距離)なので、上記式からも解るとおり、出力が高くなれば単位時間当たりの車を動かす距離が長くなる(=車速が高くなる)か、 車速は一定でも重いものを運ぶことが出来るようになります。従って必ずしも出力が高い=車速があがるという訳ではなく、加速度の計算に出力は直接は必要としない理由です。

<回転数-トルク, 回転数- 出力特性>
以下のとおり。ここで示しているトルク特性は適当なエンジンの特性を模したものです。回転数とトルクの特性をN-T特性(Number of revolutions - Torque)といいます。

出力はエンジン単体の特性によって決まり、トルクと回転数が決まれば出力は一意に決まるため、例えギア段が変化しても回転数が同じだったら出力は変わりません。 出力が同じなのにギア段に応じて車速が変わるという事は、ギアが、出力を力と距離にどのように分配するかを決める分配器の役割を持っていると言えます。

 

■走行性能曲線

走行性能曲線とは、上記に示すエンジンの単体特性に対してギア段を考慮した場合の駆動力特性を示したもので、これが実車における走行性能を表した特性です。 AT車のDレンジにおいては自動で最適なシフトチェンジをしてくれるのであまり気にすることは無いですが、ATマニュアルモードやMT車においては、これで最適な変速ポイントなどを知ることもできます。

 

走りの面で効率の良い走り方は、各車速で最も駆動力が得られるギア段を選択していけば良いです。ギア段が1速が最も駆動力が高いのでずっと1速で走れば良いと思うかもしれませんが、 エンジン回転数が一気に上昇しオーバーレブに到達してしまうので、それ以上の車速は望めなくなります。これは車を運転していれば直感的に分かると思います。

 

また各勾配角における走行抵抗の特性について、例えば勾配角10%の走行抵抗と6速の駆動力を比較すると常に走行抵抗の方が上回っているので、6速では10%以上の勾配は登れないことが解ります。

<モーターのトルク特性>
電気自動車には変速機が無く、一つのモーターだけで全車速をカバーする事が可能です(回転数と車速の関係はこちらを参照)。なお最近は複数のモーターを使用するのもあります。 モーターのトルク特性は以下の様になっており、変速機が無いので駆動力の段差が無くスムーズな走行が実現できます。

 









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