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前提知識
・1次システムの状態方程式(レギュレータ問題)
・Scilabの使い方
こちらで1次システムの状態フィードバック制御の仕方について説明しました。そこで説明したのはレギュレータ問題と言い、
平衡状態を保っていたシステムが、外乱などで平衡状態からずれたものを、元の平衡状態に戻すのを目的としてました。
ここでは、サーボ問題と言ってシステムを狙いの値に追従させるのが目的となります。
以下電気回路における電流値iを狙いの値にコントロールしたいと思います。

まず、以下がレギュレータ問題の時に定義した状態フィードバックのシステム図になります。
■レギュレータ問題

これだけでは目標値に追従させることが出来ませんので、以下の様なシステムを考えます。なお目標値に追従させる方法は他にも考えられますが、
ここでは以下を考えます。入力に対してゲインgを掛けているところが変化点です。
■サーボ問題

ゲイン設定の考え方としては、入力r(t)と出力y(t)が一致するようにgを設定するという事です。
それでは具体的なゲインの求め方を説明します。まず、上記システムの微分方程式は以下となります。

■ゲインの求め方
まず、(3)式を(1)式に代入すると、

ここで出力が目標値に収束して時間が十分になった場合、システムの動きは止まっているため微分値は0になります。従って上式は、

となり、更に式変形すると、

これを(2)式に代入すると以下となります。

ここで、y(∞)はr(∞)に一致するため、

r(∞)が消去され、gの式に変形すると以下となりゲインを求めることが出来ます。

それでは実際に値を設定してみます。以下のRL回路の微分方程式は、

となります。A,b,C,kの値はそれぞれ以下のとおり。詳細はこちらで説明。

(4)式よりgは以下となります。

■Scilabでの設計/シミュレーション結果
以下となります。Scilabの使い方はこちら。

シミュレーション結果は以下のとおり。目標値に追従させることが出来ました。

■この手法の欠点
この手法は制御対象物の特性からゲインを設定しているので、温度や劣化等の制御対象物の特性が変わる時には
その影響も考慮してゲインを設定しなければなりませんが、現実的には全ての外乱の影響を考慮することは難しく、
ロバスト性が低いのがこの制御の欠点となります。
試しに、上記制御対象物においてBを10⇒9に変化させたときのシミュレーション結果は以下となります。
制御対象物の特性が変わると、目標値に追従させることが出来なくなっているのが解ります。

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