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<前提知識>
・RL回路 , 伝達関数 , ラプラス変換 , Scilab , 複素数
一次遅れ系の伝達関数を持った対象物がどのような振る舞いを示すのか理解します。
■一次遅れ系の伝達関数
RL回路の微分方程式、及びV(t)に対するi(t)の伝達関数G(s)は以下のとおり。

上記伝達関数を一般式に置き換えると下記の1次遅れ系の伝達関数となり、Kはゲイン、Tは時定数となり、単位ステップ信号を入力した時の出力を示します。
一般的に1次遅れ系はローパスフィルタと呼ばれます。

これは以下式と等しくなります。(伝達関数と微分方程式の変換はラプラス変換で求めることができます)

■Scilabで一次遅れ系の動作を確認
(1)式と伝達関数の状態での比較を行います。パラメータは以下のとおり。
V = 1(V) , R = 2(Ω) , L = 0.5(H)

シミュレーション結果、両者の動作が一致するのが解ります。

■一次遅れ系の安定性について
系が安定しているか否かは(2)式から知る事ができますが、(2)式を変換した伝達関数からも判別することができます。
y(t)はe^(-t/T)の値次第となるのですが、特にTが0より大きいか、0未満かで大きく変わります。
T > 0の時はe^(-t/T)は0に収束、つまりy(t)はKに収束するので安定、逆にT < 0の時はe^(-t/T)は発散、
つまりy(t)も発散するので不安定と言えます。

■一次遅れ系の特性方程式
対象物の安定性はTの値で決まる事を説明しましたが、伝達関数の場合、分母が0になるような以下式を特性方程式といい、特性方程式の解で安定性が判別可能となります。

ここで上記式における-1/Tを極といい、その時のsをpと表現します。
■一次遅れ系の極の位置
sは複素数のため、極を複素平面上に表現します。以下の様に極が正の実数の場合は不安定となり、
負の実数の場合は安定となります。

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