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前提知識
・PID制御
・ハイパスフィルター
・Scilab
■不完全微分とは
不完全微分とは、微分処理にローパスフィルター処理を加えた処理のことで、PID制御のD項(微分項)による出力の急変(キック)を抑えるために使用します。
伝達関数は以下のとおり。不完全微分はハイパスフィルターに対しても使用されます。

■不完全微分を使わない場合のPID制御
以下はむだ時間+1次遅れの特性を持つ制御対象物をPIDで制御する場合の例となります。不完全微分は用いません。
<制御対象物のパラメータ>
むだ時間L=0.2秒、時定数T=1秒、ゲイン=1
<PIDゲイン>
Kp = 4.75 , Ki = 3.5 , Kd = 0.447

以下のように制御対象物の挙動はいびつな形になっており、これは微分器の影響であることが解ります。

<微分器の出力結果>

■不完全微分を使った場合のPID制御
以下の様に、通常の微分器を不完全微分に置き換えます。

シミュレーション結果は以下のとおり。時定数tはノイズ除去のため、あまり大きな値でなくてよく、0.03を設定しました。
いびつな形は収まりましたが、少しオーバーシュート気味となっております。

そのため、Kdをもう少し小さな値にして0.3としました。振幅も収まりました。

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