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前提知識/関連知識
・PID制御とは
・Scilabの使い方
・むだ時間 , 1次遅れ系 , 積分系
■PID制御 限界感度法とは
PID制御のゲイン設定方法の一つであるジーグラ・ニコルスの限界感度法について説明します。
これは制御対象物の特性を物理モデルで表現できない場合に、経験的にゲインを決めることのできる手法です。
またこの手法はステップ応答法と異なり定位性※の制御対象に限定されず、無定位性の物に対しても有効ですが、1次遅れや2次遅れ等の制御対象物には使えず、
むだ時間+1次遅れ要素、もしくはむだ時間+積分系の制御対象物に有効です。なおその他のゲイン設定法は極配置法があります。
※ 定位性とは、入力値が決まるとそれに対応して出力値が決まる性質の事です。対して入力値が決まっても出力値が一意に決まらない性質を無定位性といいます。
無定位性の例としては積分器が含まれる制御対象があげられます。
■限界感度法のチューニング方法
以下に示すように、PID制御をP制御のみとしてフィードバック制御を構成します。

ステップ信号を入力し、Kcを徐々に大きくしていくとある時点で振幅が一定の持続的な振動となります。
この時の振動周期をTcとします。なお制御対象物がただの1次遅れ系の場合、ゲインをどれだけ大きくしても振動しないので、
1次遅れ系には感度限界法が使えないことが解ります。

求めたKcとTcより以下の様にパラメータを設定します。この設定方法をジーグラ・ニコルスの方式といいます。

なおこのゲインは以下式を前提に設定する場合は値が異なりますが、結果は同じになります。


■Scilabで限界感度法のチューニングを実施
Scilabを使ってゲインのチューニングを行います。むだ時間L=0.3秒、持続振動が起きるKpは5.89、その時の周期Tcは1.1秒となりました。


■限界感度法によるPI制御の動作結果を確認
今回はPI制御での動作確認を行います。
<パラメータ>
Kp = 0.45*5.89 = 2.65
Ki = 0.542*5.89/1.1 = 2.9
Kd = 0


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