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前提知識
・ラプラス変換
・移動平均処理
・後退差分
・差分方程式
・双一次変換
デジタルフィルタについて説明いたします。まずこちらでローパスフィルタについて説明しましたが、ローパスフィルタの伝達関数は以下でした。

上記は、時間が連続系であるのが前提であるため、Scilab上のシミュレーションでは成り立つものでしたが、
実際にマイコンなどに実装する場合、時間が離散系であるのを前提に、つまり伝達関数を離散化して扱う必要があります。

■離散化の方法
連続時間においては、物理モデルを微分方程式で表現し、それをラプラス変換してs関数に置き換えるという事をしました。離散時間においては、微分方程式を後退差分法によって差分方程式で表現します。
そしてそれをZ変換してz関数に置き換える必要があります。なお、s関数から双一次変換によってz関数に近似する手法もあります。双一次変換はこちらで説明。

■デジタルフィルタの種類
デジタルフィルタには大きく分けてFIR(Finite Impulse Response)フィルタとIIR(Infinite Impulse Response)フィルタがあります。
両者の違いを簡単にいうと、FIRフィルタは入力値だけを使って処理するフィルタで、IIRフィルタは入力値だけではなく出力値も使ったフィルタとなります。
入力値しか使わないFIRは、入力が0になったらいずれは出力も0になるので、有限の(Finite)応答といえます。一方、出力値も使うIIRは入力が0になっても結果が0になるとは限らないので
無限の(Infinite)応答といいます。
それでは両フィルタについて具体的に説明していきます。
FIRフィルタ
FIRフィルタの具体的な事例としては単純移動平均(SMA:Simple Moving Average)があります。例えば以下。移動平均処理の詳細はこちらを参照。

FIRフィルタの性質としては以下が挙げられます。
・過去の入力情報を多く覚える必要があり、メモリー容量を必要とする。演算式も長くなる。
・出力結果は常に安定である。
IIRフィルタ
IIRフィルタの具体的な事例としては、入力情報と出力結果の指数移動平均(EMA:Exponential Moving Average)があります。例えば以下。

IIRフィルタの性質としては以下が挙げられます。
・過去の入力情報は必要なく、簡単な式で表現することが可能。
・式の形やゲインの設定の仕方次第では不安定になる。
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