・In English
前提知識
・2次遅れ系
・PID制御
・極配置法
・伝達関数の合成
2次遅れ系をPID制御する際の、極配置法によるゲインの設定方法について説明します。

■2次遅れ系+PID制御の伝達関数
この系の閉ループ伝達関数は以下となります。(参照:伝達関数の合成)。

ここで、


であるため、(1)式は以下となります。計算過程はこちら。

■特性方程式
(2)式の特性方程式の解をどのような値にするかによって系の安定性を決める事ができるので、
まずは特性方程式の解を求めたいのですが、ここで参照モデルという考えを使います。
<参照モデル>
以下の様な伝達関数があったとします。

この特性方程式の解(極) sは以下のとおりなので、σが正の値ならば安定しており、さらにσの値が小さければ収束速度は上がります。

ここで、(3)式の特性方程式の解を(4)式と同じ形で表すことが出来たら、安定して収束速度の速いパラメータの設定をすることが出来ます。
この様にお手本となるような伝達関数を参照モデルといいます。
それでは具体的な手法を説明します。
(3)の特性方程式は以下のとおり。

(4)の特性方程式は以下のとおり。

(5)(6)式より

また、

また、

これで(7)(8)(9)式を(2)式に代入し、σをチューニングすることで狙いのゲイン設定が可能となります。
■2次遅れ系+PID制御の動作確認
Scilabモデルは以下のとおりとします。微分器はこのとおり。
何故このような微分器を使用しているかの理由はこちら。

■パラメータ設定
制御対象物の特性は予め決まっているものとし、ここでは以下とします。
α=5, β=10, K=1
チューニング要素のあるσを1と0.5としてシミュレーションします。σを小さくした方が収束性が上がるのが解ります。
<σ=1>

<σ=0.5>

サブチャンネルあります。⇒ 何かのお役に立てればと
|